夏の渡韓で食べたい！本場・冷麺の美味しいお店6選

蒸し暑い夏、韓国を訪れるならぜひ味わいたいのが「冷麺」です。ひんやりとしたスープに、コシのある麺、爽やかな酸味が絶妙にマッチ。地元の人々に愛され続ける名店から、観光客にも人気の有名店まで、冷麺とひと口に言っても、そのスタイルや味わいは実にさまざま。今回は、夏の韓国旅行でぜひ立ち寄りたい、ソウルで本場の冷麺が楽しめるおすすめのお店を6つ厳選してご紹介します。

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ひんやり美味しい韓国の「冷麺」

韓国料理と聞いて、まず思い浮かぶ料理のひとつが「冷麺」。その涼やかな見た目とさっぱりとした味わいから、夏のイメージが強いかもしれませんが、実はもともと寒い季節に、オンドル（韓国式床暖房）の効いた室内で食べられていた、朝鮮半島北部の冬の料理だと言われています。

韓国で冷麺が広く食べられるようになったのは、1950年の朝鮮戦争がきっかけ。戦火を逃れて南へ避難してきた北の人々が、南の地に冷麺の専門店を次々とオープンし、その味が受け入れられて定着していきました。今では、韓国を代表する伝統料理の一つとして、地元の人々にも観光客にも親しまれています。

冷麺のルーツは、朝鮮時代の平壌（ピョンヤン）と咸興（ハムン）にあるとされ、それぞれの地域性や気候の違いから、使われる麺の材料にも特徴があります。平壌ではそば粉が主に使われ、咸興ではジャガイモやさつまいものでんぷんが多く使われるのが一般的です。

そのため、平壌冷麺は澄んだスープに麺を浸した「水冷麺（ムルレンミョン）」として、咸興冷麺は辛味ダレで和えた「混ぜ冷麺（ビビンネンミョン）」として発展してきました。現在では、ほとんどの専門店で両方のスタイルを提供しており、好みに合わせて選ぶことができます。

韓国・ソウルの冷麺が美味しいお店

本場・韓国で冷麺を味わうなら、やっぱり名店で楽しみたいもの。ここでは、冷麺の伝統と味を守り続ける老舗から、地元の若者にも人気の話題店まで、ソウルでぜひ立ち寄りたい冷麺の名店を6つ厳選してご紹介します。

又来屋

1946年創業の老舗「又来屋（ウレオク）」は、ソウルで冷麺とプルコギの両方を楽しめる名店として知られています。水冷麺は、スープには江原道産の韓牛を100％使用し、野菜を一切加えずに24時間じっくり煮込むという、手間を惜しまない伝統製法が受け継がれています。そのため、澄んだ見た目でありながらしっかりとしたコクと深みのある味わいが楽しめます。

麺はそば粉とさつまいも澱粉を7:3の割合で練り上げており、細くてコシが強く、スープとの相性も抜群。ひと口食べれば、上品ながらも力強い味のバランスに感動するはずです。

また、冷麺と並んで人気なのが、甘めの味付けがクセになるプルコギ。ジューシーなお肉と特製ダレの組み合わせが絶妙で、冷麺とセットでオーダーするのがおすすめです。

店内は1・2階にわたって席が用意された広々とした空間ですが、「ミシュランガイドソウル2018〜2023」に連続掲載されていることもあり、特に週末やランチタイムは混雑必至。ゆっくり食事を楽しみたい方は、ピーク時間を避けて訪れるのが賢明です。

平壌麺屋

東大門エリアに位置する「平壌麺屋」は、北朝鮮・平壌発祥の伝統的な冷麺を受け継ぐ、知る人ぞ知る名店です。1985年の開業以来、創業者の祖父が北朝鮮で営んでいた店の味を受け継ぎ、現在は三代目がその伝統を守り続けています。

ダシを取り、冷却を繰り返しながら約12時間かけてじっくり仕上げるスープは、余分な脂や雑味がなく、韓牛の旨味がじんわりと広がる優しい味わい。透き通るようなスープからは、職人のこだわりと丁寧な仕事ぶりが感じられます。

さらに、麺は敷地内の製粉所で製麺された自家製。そばの香りがふわっと広がり、スープとの一体感も格別です。他ではなかなか味わえない、ここだけの特製冷麺として、多くの美食家を魅了しています。

ミシュランガイド・ソウルには7年連続で掲載されており、韓国国内のグルメ番組やメディアでもたびたび紹介されるなど、その実力は折り紙付きです。

ソルヌン

「ソルヌン」は、平壌にある高級ホテル「高麗（コリョ）ホテル」で腕をふるっていた北朝鮮出身のシェフが営む、平壌冷麺の専門店です。その道40年以上というベテランの技と、高麗ホテルのレシピを忠実に再現した味わいが話題を呼び、日本のメディアでも取り上げられるなど注目を集めています。

こちらの水冷麺の特徴は、じっくり煮込まれたスープと、風味豊かな自家製麺。スープは牛肉、豚肉、鶏肉といった複数の素材から丁寧にダシを取り、コクがありながらも後味はすっきりとした仕上がり。重たすぎず、スープそのものの旨味がじんわりと口の中に広がります。麺は、そばの実を皮ごと製粉してジャガイモのでん粉を加えたもの。植物繊維が豊富で、一般的な平壌冷麺よりもコシが強く、噛むほどにそばの香りと味わいを感じられるのが魅力です。

高麗ホテルの味をそのままに、本場ならではの技術とこだわりが詰まった一杯は、冷麺好きなら一度は体験しておきたい逸品です。

五壮洞咸興冷麺

1953年、朝鮮戦争直後に咸興出身の創業者がソウル・東大門近くで開いたのが「五壮洞咸興冷麺」。それまで冷麺とは無縁だったこの地域において、店の人気が高まるにつれ、「五壮洞＝冷麺」というイメージが広まるほどの名店へと成長しました。まさに、ソウルにおける咸興冷麺のパイオニア的存在です。

このお店の咸興冷麺は、さつまいものでん粉を使った強いコシと弾力のある細麺が特徴。モチモチとした食感は、辛味ダレとの絡みも抜群で、クセになる一杯です。

名物メニューの一つが、国産ガンギエイの切り身をトッピングした「刺身冷麺」。ピリッとした辛味とエイの風味が絶妙にマッチし、爽やかな後味を楽しめます。

エイの刺身や牛肉は単品でも注文できるので、冷麺と一緒におつまみ感覚で楽しむのもおすすめです。咸興スタイルの冷麺を本場に近い形で味わいたい方には、ぜひ訪れてほしい一軒です。

明洞咸興麺屋

明洞に店を構える「明洞咸興麺屋」は、三世代にわたって伝統の味を守り続ける、地元でも愛される冷麺の専門店です。観光客にとってアクセスの良い立地ながら、しっかりとした味わいと丁寧な調理で、地元客からの信頼も厚い一軒です。

店内は1階にテーブル席と座敷席、2階には団体にも対応できる広々とした座敷席が用意されており、ひとりでもグループでも利用しやすい造りになっています。

こちらの冷麺は、さつまいものでん粉100％で作られた細麺が特徴。しっかりとしたコシがあり、噛むごとに素材の風味がじんわりと広がります。スープとの絡みもよく、全体としてバランスのとれた味わいに仕上がっています。スープは化学調味料を一切使わず、牛骨をじっくり一日かけて煮込んだ自家製ダシ。すっきりとした後味の中に、牛の旨味が凝縮されていて、何度も飲みたくなるような深みのある味わいです。

ユッサムネンミョン

「ユッサムネンミョン」は、ソウル市内を中心に複数の店舗を展開する人気の冷麺チェーン店。2009年頃に冷麺と炭焼きカルビをセットで提供するスタイルが話題を呼び、その後「冷麺×焼肉」の組み合わせを韓国グルメの定番として定着させた、まさにその元祖ともいえる存在です。

こちらで楽しめるのは、シンプルでさっぱりとした冷麺に、香ばしく焼き上げた炭火カルビを合わせたセットメニュー。お肉で冷麺をくるっと包んで食べるのが定番のスタイルで、カルビのジューシーさと冷麺の爽やかさが絶妙にマッチします。お肉の脂っこさを冷麺が程よく中和してくれるので、重たさを感じず最後まで美味しくいただけるのも人気の理由です。

本店はシンリムにありますが、明洞、ホンデ、東大門、江南など、観光にも便利なエリアに多数の支店があるのも嬉しいポイント。気軽に立ち寄れるチェーン店ながら、味のクオリティは高く、観光の合間に本格的な冷麺セットを楽しみたい方にもぴったりです。

冷麺まとめ

韓国の夏にぴったりな冷麺は、単なる“さっぱりグルメ”にとどまらず、地域ごとの歴史や文化、職人のこだわりが詰まった奥深い料理です。今回ご紹介した6つのお店は、いずれもそれぞれのスタイルを大切にしながら、素材や製法に妥協のない名店ばかり。韓国で本場の冷麺を食べてみたいという方は、是非この記事を参考にお気に入りのお店を探してみてくださいね。